自己成長 / リーダーシップ

「環境」は探すものか、作るものか? 成長を決める「提供者」と「受益者」の視点

7分
環境を受け取る側と創る側の両面性を示す図

「環境が悪い」と嘆く人は多いが、環境とは単に与えられるものではない。環境には、そこから恩恵を受ける「受益者」のフェーズと、他者のために土壌を整える「提供者」のフェーズがある。自分がどちらの立場にいるかを認識し、「探す側」から「創る側」へシフトすることの重要性と、その両面性について考察する。

はじめに

「もっといい環境で働きたい」
「あのチームの環境が羨ましい」

私たちはつい、環境を「どこかから与えられるもの(天気や場所のようなもの)」として捉えがちです。 しかし、ビジネスや人生において、「環境」には明確に2つの側面があります。

それは、環境を「与えてもらう側(受益者)」と、「提供する側(提供者)」という視点です。

1. 受益者の視点:環境は「選ぶ」もの

若手や学び始めの段階では、私たちは皆「受益者」です。 植物が肥沃な土壌を必要とするように、自分を成長させてくれる場所を探す権利があります。

受益者としての2つの選択肢

  • 選ぶ権利:自分の価値観(Being)に合わない場所、成長できない場所からは、逃げる(移動する)ことも立派な戦略です。
  • 変える努力:与えられた環境の中で、より良くするために提案したり、工夫したりする「自ら変える」アクションも、受益者としての責務です。

しかし、いつまでも「誰かが良い環境を用意してくれる」のを待っていてはいけません。

2. 提供者の視点:環境は「創る」もの

リーダー、親、指導者、あるいはベテランになった時、役割は反転します。今度はあなたが、誰かのための「環境(土壌)」にならなければなりません。

提供者としての2つの責務

  • 与える義務:部下が挑戦できる心理的安全性を作る。子供が夢中になれる機会を用意する。
  • デザインする力:「どうすれば人が育つか?」「どうすれば熱狂が生まれるか?」を設計する。

以前紹介した『社長改造』の事例も、社長が「自分の性格」を変えることよりも、「メンバーが輝く環境(役割分担)」を創ることに注力した結果、組織が再生しました。

3. 視点を往復させる

重要なのは、この2つを状況に応じて使い分けることです。

学ぶ時

「貪欲な受益者」であれ:
良いメンターやコミュニティを徹底的に利用させてもらう。

導く時

「寛容な提供者」であれ:
自分の利益よりも、他者が育つための土台作りに徹する。

環境を受け取る側と創る側の両面性を示す図

両手で苗木を守り育てている人の手(提供者)と、その木陰で休む人(受益者)のイメージ

結論:不満があるなら「創る側」へ

もし今、あなたが所属する環境に不満があるなら、それは「そろそろ受益者を卒業して、提供者に回るタイミング」なのかもしれません。

「良い環境がない」と嘆くのをやめ、「私が良い環境になろう」と決めた瞬間、景色はガラリと変わります。

あなたは今、環境を「もらう側」ですか?
それとも「創る側」ですか?